2010年、東京築地本願寺にてhideさんの十三回忌法要が執り行われました。
その際、法要返礼品として、hideさんのオフィスより、再びオリジナルコーヒーのリクエストを頂き、承りました。
ご依頼は「hide’s coffee HURRY GO ROUND」につづき楽曲「ピンクスパイダー」をコーヒーの味と香りで表現し、hideさんを偲び、臨席された方々へ安らぎを届けたいというご要望でしたが、僭越ながらふたたび、創作させていただくに至りました。
彼の愛した「日本のコーヒー」、やはりこのキーワードが創造の根幹になっています。
複雑で、重みがあり、なおかつシャープな楽曲の印象を、ブレンドコーヒーとして表現するため、しかも日本人になじみがあり、真の意味で永きにわたり愛され続けているコーヒーを使用する。何年経っても色褪せることのない彼の魅力同様に、日本人が愛してやまないコーヒーを選定し、そのコーヒーを創造する。
これが念頭にありコーヒー生産国各国のリサーチを開始しました。
結果、ブレンドのベースになったのは、やはりコロンビア産ウオッシュドアラビカコーヒーで、とくに伝統的生産エリア「MAMS」および南部地域からセレクトしました。
私は同国渡航時には入念に各地エリアの味、香りの特長を調べ上げ、精査しておりますが、赤道を挟み、北部から南部まで広大な範囲で生産されるコーヒーは、驚くほど味、香りに変化があります。
これは、例えるならば「音」や「色」の違いとよく似ていると言っていいと思います。
ギターの音、ピアノの音、そして歌声と音源は同一でもその「音」は様々です。
コロンビアは高品質アラビカコーヒーとしては、ブラジルに継ぎ 我が国への輸入実績があり、同時に、それが現在まで継続されています。
数あるコーヒー生産国の中で、その「地位」を守り続けることは並ではなく、また同様に 日本人の味覚に合った風味を持っているがゆえに支持されているともいえます。
さらにインドネシア・スマトラ産アラビカを取り寄せ、やはり精査し、プレミアム・コロンビアコーヒーに重ねてゆきます。
両者ともローストレンジを変化させ、幾重にも重ね、リッチなボディを持ちつつ、切れのあるビター感、更に、曲のラストで「PinkSpider」が見上げた空のようなクリアな奥行きを表現いたしました。
最初に口にされたときの印象、二口目と、口にするたび「芯」は持ち続けるも、複雑に表情を 変化させるコーヒー、お楽しみいただくたびに何かを語りかけてくるような、そんなコーヒーであってほしいと思わずにはいられません。
それが『hide’s coffeeⅡ ~ Pink Spider ~』です。